坂本美雨さん

PEOPLE & WALLS 06

坂本美雨の愛しい日々。
家族と心地よく暮らすための
「小さな心配り」

坂本美雨

ミュージシャン

心地よい空間を彩る大切な存在である壁と、そこで過ごす人との関係について、クリエイティブな活動に携わる人々との対話を通じて考えていくLIXIL「PEOPLE & WALLS MAGAZINE」。
歌手として、およそ20年間、音楽活動を続けてきた坂本美雨さん。決して短くはないそのあいだには、歌との向き合い方、そして暮らしにおいてさまざまな変化があったそうです。肩の力を抜いて、大きな流れをも受け入れながら過ごしている坂本さんに、大切な存在と暮らす空間への思いについて伺いました。

取材・文:松井友里 撮影:寺内暁 編集:服部桃子(CINRA)

坂本美雨
5月生まれ。1997年1月、Ryuichi Sakamoto featuring Sister M名義で 『The Other Side Of Love』を歌いデビュー。ソロ活動以外にも、シンガーソングライターのおおはた雄一さんとのユニット「おお雨(おおはた雄一+坂本美雨)」として、フェスに出演するなどの音楽活動に加え、TOKYO FMをはじめ全国ネットのラジオ番組『ディアフレンズ』のパーソナリティーを担当。2015年に第1子出産、仕事と育児に奮闘中。

歌も暮らしも。ライフステージに応じて、柔軟に変化してきた

「暮らしと歌はとても密接な関係にある」と言う坂本さん。2015年にお子さんが生まれてからは、「子どもと一緒に歌える歌」をテーマに、聖歌隊「CANTUS」とコラボレーションしたアルバム『Sing with me』をリリースするなど、創作のヒントは、生活のなかから自然と得ているのだそう。

坂本:出産前は、やるべきことで時間を区切り、「よし、つくるぞ!」と自分のなかでスイッチを切り替えていましたが、いまはそういった感覚はなくなりましたね。歩きながらメモをしたり、散歩をしながら鼻歌を歌ったり、友達と話しているなかで出てきたキーワードをアイデアとして膨らませたりと、日常と創作がシームレスにつながっているような感じ。もちろん集中して作業をするタイミングもあるんですけど、無意識のうちに歌の種を拾おうとしている感覚です。

インタビュー中の坂本さん
坂本美雨さん
ただ、コロナ禍のなかでは思うように音楽活動ができないこともあったのだそう。その分、家族と接する時間が増えたと言います。

坂本:保育園がお休みになったので、子どもといる時間がすごく増えて。家族全員分のご飯をいつもにも増してつくっていましたね。パーソナリティーを務めているラジオもリモート収録になったので、その時間は夫に娘を公園へ連れ出してもらったり、同じマンションの子どもたちのお家を行き来したり。その期間だけは昔の長屋みたいな生活で、特殊な時間でした。

お子さんが生まれて創作の方法が変わったように、ライフステージに応じて暮らし方も少しずつ変わっていった坂本さん。10年前、愛猫の「サバ美」とともに暮らすようになったことも、彼女にとって大きな転機の一つです。

坂本:サバ美は、初めて自分で選んだ家族で、大切なパートナーです。自分がいなければ生きていけない存在がそばにいることで、すごく責任感が芽生えましたし、サバ美は気持ちの面で私に大きな変化をもたらしました。一人暮らしをしていた頃にうちに来たので、そんなに広くない部屋でもサバ美が快適に過ごせるようにと、上下運動ができるキャットタワーを置くなどの工夫をしていましたね。

サバ美との出会いを経て、2014年に結婚し、翌年出産。ニューヨークの実家にいた頃や一人暮らしのときは、シンプルでモダンなインテリアを好んでいたそうですが、パートナーと暮らすにあたり、空間はどのように変化したのでしょうか?

坂本:夫はブックディレクターをしているので、とにかく本の量が尋常じゃないんです。部屋を一つ、本に捧げているくらい。一方で、向こうからしたら私は洋服が多すぎるみたいで。お互いにモノが多い夫婦なんです。さらに娘が生まれてからは、娘のお洋服とおもちゃも加わって、部屋が爆発している状態(笑)。でもブックディレクターって、暮らしに本を取り入れ、空間を活かすことが仕事なので、本がずらっと並んでいる自宅の壁は、彼の仕事へのこだわりも感じますし、私自身も本に囲まれるのは心地いいですね。

壁際に置かれたインテリアを見る坂本さん

アレルギー持ちの家族と愛猫。お互い心地よく暮らすためのコツは?

お子さんのいるご家庭では、つねに空間をすっきりさせておくのは大変なもの。そんななかでも心地よく過ごすために、あまり無理をせずにできることで工夫をしているそう。

坂本:もともと片づけがあまり得意ではないし、片づけたとしても、理想とするすっきりクリーンな空間をずっと保っておくことはなかなか難しくて。でも、すべてが片づかないことにストレスを感じてもキリがないので、「ここだけは!」と、ひとつ場所を決めて、きれいにしておくようにしています。私の場合は、ゆっくりとコーヒーを飲めるような場所を、せめてひと席分だけでもつくっておくこと。それだけでも、気持ちが違うと思うんです。あとはつねに好きなものが目に入るよう、写真や絵やお花をいつも飾るようにしています。

ささやかでも、心地よい空間を維持するための心配りを忘れない坂本さん。調湿や生活臭の低減、有害物質の吸着、自然と空間を心地よくしてくれるエコカラットが、彼女のアンテナに引っかかりました。

坂本:空間を快適にしようとすると、つい電化製品に頼りがちになるじゃないですか。でも、壁が自然と家電に期待する働きを担ってくれたら、モノが増えなくていいなと思いました。あと身体の状態って、結構天候に左右されますよね。ちょうどいい湿度に保たれていないと、身体が反応して体調を崩す可能性もあるから、壁が湿度を調整してくれたら、きっと日々の調子も違うんじゃないかなと思います。

エコカラットのサンプルを見る坂本さん
エコカラットのサンプルを見る坂本さん
じつは、坂本さんのパートナーもお子さんも猫アレルギーを持っています。サバ美と暮らすうえで、エコカラットの機能にアレルゲンの働きを抑制する効果を付帯させた「アレルピュア」にも、見えない気配りを感じたようです。

坂本:夫は猫アレルギーだけじゃなく、アトピーと喘息も持っているから、ホコリや毛が散らないよう、気をつけて掃除をしています。娘はいまのところ症状は出ていないんですけど、検査をしたらアレルギー体質で。赤ちゃんの頃からとにかく保湿を心がけていましたし、食べものにもいろいろと気を遣ってきました。予防のために日々気をつけることが多いのですが、壁を変えるだけでアレルゲン抑制になるのは、すごくいいですよね。アレルギーが気になる人にはおすすめだと思いますし、なんなら自宅に敷き詰めたいくらいです(笑)。