半田悠人さん

CREATOR'S WALLS

シンプルなキッチンが特別な場所に。
建築家・半田悠人が
エコカラットを選んだわけ

半田悠人

建築家

建築とグラフィックデザインを手がける、総合芸術制作会社デリシャスカンパニー代表の半田悠人さん。2021年6月にオフィスを移転し、DIYで快適な空間をつくり上げてきました。なかでも、「デリシャス」を冠する半田さんの会社にとって大切な場所であるというキッチン。今回はその壁に、エコカラットを施工いただきました。半田さんは、導入したことでキッチンにより特別感が生まれ、愛着が増したといいます。また、スタッフの方々にも思わぬ変化が見られたのだとか。どんな変化があったのか、お話をうかがいました。

取材・文:榎並紀行(やじろべえ) 撮影:寺内暁 編集:服部桃子(CINRA)

半田悠人 (はんだ ゆうと)
幼少のころに見た大工さんに憧れ、挫折と紆余曲折を経たのち、建築の道へ進む。総合芸術制作会社デリシャスカンパニー主宰。現在も建築家として数々のプロジェクトを手がける。

シンプルなキッチンが「特別な場所」になった

半田さんは建築家としてオフィスや住宅も手がけられています。仕事でさまざまな内装材に触れる機会も多いと思いますが、機能の違いを実感することはありますか?

半田:そうですね。特に、施工の現場でそれを実感します。現場から現場に移動したときなどに、前のところと明らかな空気感の違いを感じることがあるんです。気候などの条件はほとんど同じはずなのに、湿度や快適性がまるで異なる。そういうときは、仕上げ材に素材感のある良いものを使っているケースが多いです。

半田悠人さん
半田悠人さん
エコカラットも以前からご存知だったと思いますが、実際に今回オフィスに導入されてみていかがでしょうか?

半田:いまの事務所は、ぼくらがDIYでカラフルに仕上げたのですが、そのなかでキッチンだけがシンプルだったので、装飾じゃないですけど、何か遊びを入れたいなと思っていたんです。そんななか選んだ素材は、フラットな印象で、白い壁によく馴染んでいると感じます。見た目という面で、すごく気に入っていますよ。

エコカラットというと、凹凸をつけた意匠のものが有名だと思いますが、今回はあえてニュートラルなものをチョイスしました。また、塗装しただけの壁に張ることで、空間のアクセントにもなっている。ほかの壁材にはあまりないマットな質感は品質の良さを感じますし、手触りも心地いいですね。

デリシャスカンパニーの内装
デリシャスカンパニーの内装。壁の色や家具など半田さんたち自身でDIYをし、カラフルに仕上げている
エコカラットが導入されたキッチン
エコカラットが導入されたキッチンの様子
導入したエコカラット
実際に導入したエコカラット
スタッフのみなさんや、事務所を訪れるお客さんの反応はいかがですか?

半田:やっぱりみんな反応してくれますね。変わったね、きれいになったねと言ってくれています。あとは、不思議なことにスタッフのみんながキッチンに余計なものを置かなくなったんですよ。前は、誰のものかよくわからないバナナとかが無造作に置かれていたんですけどね(笑)。空間の特別感が増したことで、「ここにヘンなものを置いちゃいけない」と思うようになったのかもしれません。

エコカラット導入前のキッチン
エコカラット導入前の様子
エコカラット施工の様子
施工中の様子
空間が変わると、それを使う人の意識も変わるのかもしれませんね。

半田:それはあると思います。公衆トイレが汚くなるのだって、誰かが最初に汚すことで、他の人も汚していいと認識してしまうからですよね。逆に、いつも掃除が行き届いた美しいトイレだと、自分も綺麗に使おうという意識が芽生えます。それと同じで、うちのスタッフもキッチンに対する見方が変わったのだと思います。

「当たり前にある存在」が生活をちょっと良くしてくれるって、すごく価値があること

どうしてキッチンに導入されたのでしょうか?

半田:キッチンはぼくらにとって、大切な空間なんです。社名も「デリシャスカンパニー」ですからね。「デリシャス」は料理が美味しいという意味だけでなく、アメリカでは「面白い」「イイね」といったニュアンスでも使われます。そうしたニュアンスや音の響きでつけた名前でしたが、せっかくなら本来の意味である「美味しい」とも絡めたいと思い、コロナ前は飲食のイベントなども開催してきました。また、コロナが落ち着いたらこのオフィスに人を招き、料理をふるまうこともしてみたいと考えています。リモートだと人の機微が伝わらず、コミュニケーションエラーが起きてしまうこともあったので、コミュニケーションの場という意味でも期待していて。だから、キッチンにはこだわりたかったんです。

半田悠人さん
たしかに、三口コンロに広い作業スペースと、会社のキッチンとは思えない充実ぶりですね。

半田:オフィス物件にありがちな、コンパクトキッチンってダサくないですか? 給湯室に申し訳程度についているやつ。給湯室って、誰かがホッと一息つきに来る場でもあるのに、あれだと安らげないですよね。オフィスのキッチンがもう少し豊かだったら、ちょっとコーヒーを飲みに来る時間も特別なものになると思うんです。そういう意味では、エコカラットを導入してから、みんながコーヒーを淹れに行く頻度が上がった気がします。

キッチンは喫煙スペースも兼ねているそうですね。

半田:はい。ぼくを含めほとんどが喫煙者ですし、来客した人が吸うこともあるので、そういう意味でも憩いの空間ですね。ただ、部屋の角でにおいはこもりやすいので、エコカラットの脱臭効果に期待していたんです。実際、導入してからは、以前よりにおいが気にならなくなったと感じています。あとは、においが籠もらなくなり、いろんなにおいを敏感に感じられるようになったからか、コーヒーを淹れる人が増えましたね。

こういう壁材って、導入してすぐに劇的な変化を実感するのは難しいかもしれません。この場所で長い時間を過ごしたあと、また別の場所に移ったときにはじめて、「あれ? いままでより空気が淀んでる?」と、これまで受けていた恩恵がわかる。

そんなふうに、生活のなかに「当たり前」として馴染んで心地良さを与えてくれるものって、すごく価値があると思います。個人的にもそういうものを積極的に選びたいし、自ら使って良さを体感したうえで、お客さんにも提案していきたいですね。

使われているタイル